平成17年12月26日 

 

 

「彦根市経営改革プログラム」に対する意見書(彦根市財政改善プラン)

 

彦 根 市 長 どの

彦根市市議会議長どの

 
ふるさと彦根未来会議
大 久 保 貴

加 固 啓 英

前 川 幸久

安 田 武 雄
山 内  勉

 

 

1.意 見 書

 

1.はじめに

 私たち「ふるさと彦根未来会議」は、市民、事業者、行政とのパートナーシップを基調に、彦根市の市勢全般に係わる21世紀の方向性を定め、もって住民参加型のまちづくりを推進することを目的に活動しております。今般は、活動の一環として「彦根市経営改革プログラム」の原案に対しての、提言をまとめました。今般は、提出期限の関係もあり、また限られた情報の基でありましたので、基本となる方針を私たちの考えた経営改善プランを添えて提言することに致します。

 

2.経営改革の柱となる事項

 @ 財政改善委員の設置

 原案のなかに、民間の活力を導入した、「指定管理者制度」をつくり、改革を推進するという一項があります。今般の原案では、財政の再建が究極の目的となっていますから、これを成功させるには、具体的な改革プログラムを提案して、それを見守るということが必要となります。これには、従来から行政監査専門員(オンブズマン)という制度がありますが、彦根市にはそうした制度もありません。

そこで、今般は、市の財政改革が中心ですから、オンブズマンではなく、財政改善プランを計画し、その計画を推進するプロジェクトチームが必要だと思われます。それには財政や金融に精通した人材が必要ですし、また、強い権限(意思)をもつて実行できる組織をつくることが求められます。市と民間の双方から、6名程度で構成した、市長直属のプロジェクトチーム(財政改善委員)を設置すべきだと考えます。

 

 A 財務諸表の公表(ディスクロージャー)

 原案のなかに、分かりやすい財務諸表の作成と公表という一項があります。株式を公開(上場)している企業では、決算が終了しますと、株主を始め利害関係人、貸借対照表、損益計算書、財産目録をはじめ、財務内容を公表しています。

最近では、こうした企業会計原則に従った、財務諸表を公表している自治体が、東京都をはじめ、幾つかの自治体で試みられていますが、統一的に制度化されていないのが現状です。しかし、分かりやすく開示(ディスクローズ)するという目的は同じです。

そこで、特別会計も企業会計も含めた、彦根市全体の財務内容(特に借金の状況)を、一元化(連結)して開示するよう改めるべきだと考えます。

[病院]

企業会計のなかでも、病院は収益事業を行っているのですから、財務諸表を、企業会計原則に従って作成し、できれば第三者機関の監査を受けてから公表して下さい。市民に公表するのですから、詳細な財務内容までは、必要ありませんが、借入金の明細は添付するべきです。この借入金の返済(利息)は、一般会計から弁済しているのですから、会計原則によれば寄付金として処理をすべきです。繰出金は、不明朗な取扱ですから、明確な会計処理が行われているとはいえません。病院の運営に関しては、第三者によって管理(チェック)ができる制度を設けるべきだと考えます。

 

[企業会計・特別会計]

 上水道事業、開発公社は、企業会計として処理されています。しかし、勤務している職員も、建物や設備も、市の職員、建物、設備です。それらの管理費は、費用配分の原則に従った、会計がされるべきです。しかし、この原則に従った会計処理は、極めて困難ですから特別会計で処理されるべきだと思われます。

 企業会計や特別会計のなかにも、借金(起債)をしている会計が幾つかあります。この借金の実態が明確に把握できていなかったのが現状です。起債を発行している会計は、欄外に、残高などの起債の状況を注記して下さい。

[一般会計]

 一般会計の、貸付金や繰出金は、病院や下水会計では、借入金の弁済に充当されています。この貸付金や繰出金が、決算書の内容を複雑にし、不明朗な会計処理につながっています。実際の資金の流れ(キヤッシュフロー)を捉えた、決算書を作成し下さい。当然、全ての会計が連結(一元化)した決算書ということになります。

借金の総額が分かる決算書ですから、詳細な借金の内容までは問いませんが、残高などの状況を開示し下さい。

借金の弁済は、市民の納めた税金で賄っているのですから、予算書に加え決算書は、市民(第三者機関の)に同意を求まるべきです。財務諸表の公表が、借金の抑止力となって、その結果が、行政に反映されると考えます。

 

B    固定費の削減と資産の有効利用

 経営改革プランにも踏み込んだ内容が見受けられます。しかし、基本的に改革の方向はあくまで市政が発展して行くものでなければならないと考えます。行政の作るプランは政治のダイナミズムを感じさせるに至りません。市民が理解する人事制度改革を望みます。また、過去の経緯を踏まえて県に支援を求めることも必要だと考えます。さらに、旧市立病院の活用を更に大胆にご検討いただきたいと思います。


彦根市財政改善プラン

 

1.    はじめに

 本件「彦根市財政改善プラン」は、ほぼ窒息状態となっている市の財政を、大きく改善しようというプランである。本件の実行に当たっては、市長をはじめ、職員、議会、団体職員、市民、が相互に協力して、改善プランの内容を十分理解し、これを実行しなければ、明日の彦根市はないことを自覚し取組むべきだ。

それには、選任した「財政改善委員」が、具体的な実行プランを作成し、そのプランにしたがって推進することも必要である。

本件、改善プランの内容については、「彦根市経営改革プログラム」をたたき台にして作成したもので、目標(予想)となる数値は明確に示してあるので、必ず達成して欲しい。

 

2.   平成17年度決算

 例年の決算(資金繰り)では、約10億円の繰越金がある。改善プラン(別表)の「平成12年〜16年」もそのような結果になる。…[表 1]と[表 4]の比較

原案では、10億円の繰越金がないので、本表は、一般会計の借入を10億円増やして、33億円にして、10億円の繰越金ができるように作成した。当然、借金の残高は429億円に増加する。

 

3.    改善プランの趣旨

歳出の削減には、幾つかの事項が実行されている。なかでも、投資的経費は、平成12年と平成16年との比較では半分以下になっている。…[表 4]

この投資的経費のなかには、文化プラザ、みずほ会館、等さして整備に緊急性が認めらない支出もある。そのため、彦根市が、都市として再構築するために必要な支出(道路、河川改修)まで削減されている。

また、自己資金がないのに、病院などの巨額の投資を行った結果、借金が急速に膨らんだ。病院を建設した平成14年以降は、借金を返済するために借金を繰返すという事態になっている。…[表 2]

そのために、病院や下水に対する繰出金が年々増加している。…[表 3] 繰出金の増加は、一般会計の借金の増加につながると理解すべきだ。こうした問題点をカバーしながら、本件、改善プランを作成した。

 

4.   改善プラン(別表参照

@   市税は国税が増税になることからの期待      …[表 1]

A   さらに、固定資産税の減収にはどめをかける工夫  …[ 1

B   補助金は合併を見送ったことからの減額      …[ 1

C   利息の引下げはもとより返済金の繰延が不可欠   …[表 2]

D   下水事業は持続可能な規模に改善する       …[表 2‐2][表 3]

E   開発公社への貸付金の廃止(公社の解散、一括管理)…[表 3]

F   病院の借入金の返済金と利息の負担を県に求める  …[表 3]

G   病院の収支を0円に改善する(アウトソーシング) …[表 3]

H   病院の跡地の建物は庁舎として再利用する     …[表 3]

I   人件費の削減には退職金の圧縮が必要       …[表 4]

J   さらに56歳以降の給料を60%に抑える     …[表 4]

K   住宅貸付事業を廃止し金融機関へ移管する     …[表 3]

 

5.    改善プランの説明

@   市税は、国税が増税になることからの期待…[表 1]

 

A   さらに、固定資産税の減収にはどめをかける工夫…[表 1]

 

B   補助金は、合併を見送ったことからの減額…[表 1]

 

C   利息の引下げはもとより返済金の繰延が不可欠…[表 1]

借金の総額は、1,200億円を超えているのであるから、負担する利息が、年率3%としても約36億円は、結果として借金の増加につながる。

一般会計の、差引欄を見れば分かるように、平成13年以降は、借金をしても、返済金や利息の負担で、資金量の増加とはなっていない。税収が、年々減少していく状況下では、実質的に借金を減らすということは、極めた困難な作業である。

そこで、利息の引下げ、返済金の減額を、金融機関と早急に交渉すべきである。返済金については、まず、10億円程度減額すべきだ。返済条件を、満期に残額返済し、毎月の返済金を減額するなどの方法で、減額をすべきである。返済金の減額は、残高の増加につながるが、年間の資金量がその分増加するので、借入金はその分減額できる。したがって、公債費(&起債費)比率を引下げることにもなる。

 

D   下水事業は持続可能な規模に改善する…[表 2‐2][表 3]

下水会計も、差引欄を見れば分かるように、平成14年以降は資金量がほとんど増加していない。そのため、繰出金が増加しているが、この増加が、一般会計の借金が増加する原因となっている。別表の、平成12年以降の繰出金だけでも、約100億円を超えており、これを加えれば下水の借金は、600億円を超える。さらに、上水道の借金を加えれば、総額1,200億円の、半分以上を占めることになる。

この下水事業の借金が、財政を窒息状態に追込んだのであるから、段階的に改善する必要がある。不可欠な工事以外は、財政事情が好転するまで期間を延長すべきである。

 

E   開発公社への貸付金の廃止(公社の解散、一括管理)…[表 3]

 開発公社への貸付金が、毎年4億円ある。地価は、年々下落を続けおり、土地への投資はその分損失が発生することになる。現在、保有している土地も簿価を下回っており、売却すれば評価損が発生する。こうした土地は、早急に処分することが求められるが、この際、開発公社を廃止し、貸付金も中止すべきである。

また、市の所有地を、税務課を始め各課が管理しているが、国(財務省が管理)もそうであるように、一元的に管理することが必要である。

 

F   病院の借入金の返済金と利息の負担を県に求める…[表 3]

 病院は、企業であるから、赤字であれば、社会資本の損失を招くので、破産処理をするのが、原理原則である。病院収支を見れば分かるように、毎年赤字続きである。

本来なら、破産処理をして、跡地を売却すべきであるのに、看護学科「4年制」の開校に併せて、県の要請により建設したのである。

県には、いまさら建設費用の負担を要求しても進展しないと思うので、病院の借入金(別表には表示がない)の返済金と利息を全面的に負担してもらうべきである。

 

G   病院の収支を0円に改善する(アウトソーシング)…[表 3]

そして、病院の運営は、全てをアウトソーシングし、合理化するべきである。そのためには、まず、病院長とは別に経営責任者(医者でなくてもよい)を早急に任命し、財政改善委員と協力して推進することが必要である。

合理化は、何れの病院もそうであるように、3年以内に完了すべきである。早急に、収支トントンにしないと、資金繰り(改善プラン)が成立しない。その後は、民営化または売却(経営権の譲渡)を考慮することなる。

長年、赤字の垂れ流しのまま、今日に至った結果、病院の、累積損失は、300億を越えて400億円近くになる。この数字は、これまでの繰出金の合計に、平成16年の借換債、病院会計の借入残高を加えれば、概ねその金額になる。この累積損失は、借金という形で残り、借金総額1,200億円の多くを占めている。

まず、400億円近くの累積債務を、第三者の機関で確認する必要がある。同時に、改善のプログラムを、病院専門のコンサル会社(大阪・東京)で作成すべきだ。

今後は、企業会計原則に従った、決算書を作成し、第三者の機関で会計監査を受けた財務諸表を公表すべきである。

 

H   旧病院の新館は、市庁舎として再利用する…[表 3]

市の計画では、旧病院の建物は取壊し、跡地は駐車場として利用としている。その取壊し費用は6億円程度、必要であると報じられている。

この問題は、旧病院の建物の耐用年数が過ぎているから、新病院を建てたというものではない。旧館はともかく、新館は、設備もまだ老朽化していないので、必要な補修(リニューアル)をすれば十分市庁舎として使用が可能である。

この跡地は、たとえ更地として売却するにしても、取壊費用の6億円は回収できない。取壊すということは、市民の築いた社会資本の損失である。この立地では、土地として売却するには価値がないが、建物を有効に利用するのであれば、まだ使用価値がある。

現在の市の庁舎は、手狭になっており、旧病院の新館に移転した方が効率のよい利用ができる。移転後の現庁舎は、例えばA案(リニューアルし、合同庁舎として、又は、民間の活力を導入して再利用すべきである。税務署、社会保険事務所、県立表書館彦根分室、情報センター《各大学、企業》など市民参加の公共施設)として利用できる。また、民間の活力については、B案(別表事業シミュレーション)のような利用もできる。大胆且彦根市が活性化する取り組みを期待したい。

 

I   人件費の削減には退職金の圧縮が必要…[表 4]

 原案にも、急増する退職金を考慮した、人件費の削減案がある。これを具体化したのが、例えば、「退職金の上限枠」の設定である。民間企業では、年収300万円時代であるから、その4年分1,200万円が一般的である。そのためには、退職金を算出するための基本給(算定基準)を改正し、この上限を20万円程度とすることも視野に入れた改革が必要である。給料が上がっても算定額が一定であれば退職金の額が上昇しないというシステムである。中途退職した場合も、この基準額で算出することになる。

デフレで、金銭の価値が増加したのであるから、市場価値にスライドした考え方が望ましい。また、財政上(資金繰り)の問題から、退職金の一部を市債などで繰延べて支給することも必要となる。いずれにしても、市民の、共感、協力を得られる制度にすべきである。

 

J   さらに56歳以降の給料を60%に抑える…[表 4]

 年金問題から、定年が延長されることも考えられる。延長されるとさらに、人事が硬直化する。既に、民間企業では、56歳からは、管理ポストから外し、給料も、60%に抑えている。これは、企業の活力を高めるためには、労働力を最も発揮できる年代に、賃金を分配するためでもある。彦根市は、既に一般化している民間の賃金体系を導入した制度に移行する必要がある。同時に、人員の削減はもとより、三役をはじめ、全ての賃金を、人事院の勧告に従った一律7%カットなどの措置を速やかに行い、人件費の支出を60億円程度にまで引下げるべきである。

 

K   住宅貸付事業を廃止し金融機関へ移管する…[表 3]

 特別会計の中に、住宅資金の貸付事業がある。正確には算出できないが、回収が延滞したため、毎年1億円以上の赤字が発生している。また、貸出の大半が、回収が困難な不良債権となっている。

そのためには、まず、現時点での、貸借対照表、損益計算書を作成し、資産状況を把握しなければならない。この事業は、起債を発行(借金)して、その資金を低い利息で貸出ているのであるから、「逆ザヤ」である。逆ザヤの部分を、県の補助金で賄っている。しかし、回収が不能となった不良債権(貸出)については、回収ができないままになっている。

この不良債権の回収は、極めて困難なので、県に代物弁済(補助金)の請求をすべきである。しかる後に、移管が可能な価額を確定し、金融機関に移管を求めるべきだ。

この制度は、回収した資金で、起債の返済ができないので、繰出金で補填するという極めて遺憾な状態である。この起債の総額は、6億円程度であると思われるが詳細は不明である。今後は、決算書の欄外に、起債の状況(入、出、残高、支払利息)貸出の状況(回収元金、受取利息、残高)を注記すべきである。        [作成 安田](戻る)